禁(きん)　句(く)　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

夏目漱石のお弟子に内田百�閧ﾆいう随筆家がいて、『鶴亀』と題した随筆に

「京都にすっぽんの料理屋があって庭の池にすっぽんが沢山甲羅(こうら)をほしている。お客が座敷に通ると女中がどの位のにいたしましょうと聞く。お客がキセルの先であれがいいだろうと指す。今までぼんやり甲羅をほしていたすっぽんが、それを聞くと、ドブンと池の底へもぐってしまう。それでは話が解らなくなるので、別のすっぽんを指すと又それが水の底にもぐってしまう 」（一部意訳）とある。

　

わが家の飼い犬花子は、私が「さぁ〜て」と言うとパッと目を輝かせ、ニコニコ顔で側へやって来る。彼女は「さぁ〜て、そろそろ散歩へ行くか」の下の句を言わずもがな心得ている。小型犬ゲェー助も同様だ。彼は、こりゃ大変とテーブルの下へ身を隠す。彼・ゲエーは大の散歩嫌いである。　　　　　　　　　　

「昆虫や鳥は美しい花、甘い香りを求めるというが、論じているのは人間ではないか。もし、昆虫や鳥もそう思うとすれば、それは人間と同じ美的感覚を持っていることになる。これは魚でも同様だ。サケなどの婚姻色は鮮やかだとサケが思い人間も思うのである」とある本にある。　　　　　　

このやろう！と、怒鳴っては毎日葉っぱを一枚もぎっていたら、やがて、このやろう！だけで木がブル！と震(ふる)えるようになるとも聞く。　　　

沖釣りで釣れ盛っている時、船縁でだれかが大声で「イルカだ、イルカだ」と言ったとする。魚たちはビックリ仰天、三十六計逃げるにしかず。尻帆・尻帆でゲタニ・ゲタニ（逃げた､逃げた）。

あとの釣果は推して知るべし。